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世界中の本好きのために

小池田マヤ

Profile

1969年生まれ、山口県出身。京都市立芸術大学版画科卒業。 1991年、大学在学中に芳文社『まんがホーム』にてデビュー。以後、主に4コマ専門誌で活躍。 現在は4コマ誌だけでなく青年誌や女性誌などでも活動中。 代表作に『バーバーハーバー』(全7巻。講談社)、『聖★高校生』(全11巻。少年画報社)、『…すぎなレボリューション』(全8巻。講談社)などがある。 近著に『あさひごはん』(リイド社)、『鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす』(双葉社)、『誰そ彼の家政婦さん』(祥伝社)など。

Book Information

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確実に「いいもの」を描くために


――最近読まれている本などはありますか。


小池田マヤ氏: 積読していた、吾妻ひでお先生の『失踪日記2 アル中病棟』を読んでいます。身近にアルコール中毒症に苦しむ人がいたのですが、当時、私はアルコール中毒症という病気をあまりよく知りませんでした。この漫画には、当時の彼がどういう戦いをしていたのかというのが明るく描かれています。私もお酒が好きなので、「明日は我が身だ」と思いつつ、当時、何の助けにもなれなかった自分を反省しながら読んでいます。「無知って、怖い」と思いました。「アルコール中毒症というのは、こういう病気ですよ」というのがこれを読めばわかります。しかもそれを、面白おかしく描いてくれているというのに救われます。素晴らしいですね。

丁度、2、3年前は、仕事が上手くいかず、活躍している皆様方の作品を見るのが辛くて、長い間、本屋に行けない時期もありました。そうこうしているうちに、電子書籍の波がきました。電子書籍なら、気に入らなければ捨てればいいし、これは辛いと思ったら簡単に削除できるので、買って読むようになってきたんです。だから今は、本屋さんで買うよりも、電子書籍のジャケ買いが多いかもしれません。あと、電子書籍は、流し読みが楽です。それから、最近のテキストだと、主人公の名前を入れたら、その主人公が出てくるところに飛ぶ本もありますよね。どんどん作家さんが増えていますが、商品として出す以上は何か光るものがあるはず。それはどういったものなのか、と気になったら読みます。

今読んでみたいと思っているのは、パスカル・メルシエの『リスボンへの夜行列車』という本です。これは映画になっていて、予告編を見ただけで、とても感動しました。ポルトガル革命の中、激動の人生を送った男の著作を偶然手にした主人公の物語です。その作家の生家へ行くために、リスボン行きの夜行列車に飛び乗り、そこから、作家の男の生き様をなぞる旅が始まるのです。その設定に惹かれて、原作を読もうと思いました。革命のような大きな時代の流れに翻弄され、自分の存在の小ささを感じるという設定に、とても萌えます(笑)。

――発信者として、読者の方に伝えたいこと、仕事に込められた思いなどはありますか。


小池田マヤ氏: 日々の生活は、なんとなくどうやって過ごすか決まっていて、「どうしようもないこと」もあるかと思います。そんな日々の中で、一瞬でもいいから、“救われる”というものを提供していきたいです。私が漫画を描き続けられているのは、「こういうセンテンスやフレーズ、こういう物語のワンシーンを知ったりするだけで、救われる人がいるだろう」という思いがあるからなのです。「漫画に救われたという私自身の体験を、何かしらの形で自分の作品にしたい」という希望がずっとあって、それが形となったのは『聖★高校生』という漫画です。

――今後は、どういった漫画を描いていきたいですか。


小池田マヤ氏: 原点でもありますが、自分で楽しいもの。描いていても楽しいし、読んでいても楽しい。私は「面白くなくてもいいもの」を作りたいと思っています。これは、ハードルを下げているわけではなく、「面白さ以外のものを添加する」ということです。例えば、料理のレシピだったり、恋愛のエッチなシーンなど。「漫画としては面白くないけど、別の部分で満足度はあるよね」というものがあると思います。

漫画の要素は物語だけでもないし、絵だけでもない。総合芸術としては、全員が全員、5割打者になることはないかもしれませんが、確実に2割を打っていくには、色々な要素、シーンなどの足し算引き算の部分が大きいと思うので、そこは気をつけて作っていきたいです。



それからやりたいことがもう1つ。私は、4コマ漫画から受けた恩恵がものすごく大きいと思っています。だからこそ、自分が格闘しながら培ってきた「4コマ漫画を描く」ということで、何かできないかなと。私の持っているノウハウをソフトに変換して、誰かに提示するということをやってみたいです。漫画家になりたい人に教えるのではなく、混乱して自分を整理したい人や、人生を振り返りたい中高年齢の人に、ツールやメソッドとしての「4コマ描いたら完成する技術」を伝えたい。将来はそれをやりたいですね。

(撮影場所 La Cocina del Cuatro)

(聞き手:沖中幸太郎)

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