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世界中の本好きのために

木全賢3

Profile

1959年生まれ。1985年シャープ株式会社入社以来、一貫して工業デザイン分野にかかわる。2006年に独立。主に中小企業へのデザイン支援を行い、各種デザインセミナーなども開催している。 桑沢デザイン研究所、東京デザイナー学院の非常勤講師も務める。 著書に『デザイン家電は、なぜ「四角くて、モノトーン」なのか?』(エムディエヌコーポレーション)、『売れるデザインの発想法』『デザインにひそむ〈美しさ〉の法則』(ソフトバンククリエイティブ)、『売れる商品デザインの法則』(日本能率協会マネジメントセンター)など。 日経BPで『小さな組織の未来学』にて連載中。

Book Information

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興味の延長線上を渡り歩く



木全賢3氏: シャープには五年程いました。仕事をしていくうちに、作った商品をどのようにして届けていくのかに興味が湧いてきました。例えば、私はシャープのデザイナーでしたので、スケッチには「SHARP」というロゴマークを入れます。ある時、ちょっとしたイタズラ心で「SONY」と入れてみたら、そのほうがかっこいいし、ちょっとおしゃれに見えたんです。モノを作る側の人間としては不思議でしたが、ここでコーポレート・アイデンティティの重要性を認識し、ロゴマークなどを考える仕事に就きたいと考えるようになりました。

――プロダクトのデザインから、ブランドデザインへ。


木全賢3氏: PAOSという会社で、コーポレート・アイデンティティの仕事に携わりました。様々なプロジェクトを通して、ブランドのステイタス向上の仕組みを学びました。その後、テプラや工業用の機械、住宅建材などのデザインにかかわることができました。それぞれ扱うジャンルは全然違いましたが、デザインの手法は変わりませんでした。「人間が作るものは、プロセスをきちんと踏んでいけば、形になっていくんだ」ということを確信しましたね。



サムスンにいた頃は、日本の出先機関として先行開発デザインに係り、五年先の商品をサムスン韓国本社に対して提案していました。アメリカやヨーロッパにもそういう部署がありました。技術進化を予測することはとても難しかったですね。

――出来なかったことが出来るようになると、デザインもぐんと変わります。


木全賢3氏: 家電製品の未来デザイン提案をしていましたが、数年続けると出尽くした感があり、そんなときにちょうど、新規事業の社内公募があり、そちらに異動して、コンテンツビジネス、アニメーション制作に投資しました。三本くらい投資しましたが、全然儲かりませんでした。今では、日本サムスン社内で「かつてアニメ投資をした部門があったらしい」と伝説になっているようです。

デザインで豊かな社会を



木全賢3氏: サムスン在籍中から個人的に『All About』で商品デザインのガイドや、ブログ「中小企業の工業デザイン相談室」を始めていました。そのような媒体を通して様々な相談を頂く中で、デザインでいろいろな方を支援したいと独立を決心しました。また、そのブログが元になって本も生まれました。「週末起業フォーラム」の出版企画への応募がきっかけで、ソフトバンク新書から出版していただくことになりました。最初の本だったこともあり、校正にだいぶ時間がかかりました。

――編集者と一緒になって仕上げていったのですね。


木全賢3氏: 編集者と一緒に打ち合わせをしながら、企画や原稿を進められるのは、フリーという立場では、特にありがたいものです。また嫁さんには、原稿をチェックしてもらっています。デザインに全然関係ない人なので、嫁さんがわかれば大丈夫という感じで(笑)。最初の本が店頭に並んだ時は、本当に感動しましたね。毎日書店に通っては減り具合を確認していたものです(笑)。誰かが手にとるときは、本当に嬉しくて。一度、図書館で、隣に座っている人が、私の本を読んでいたこともありました。

――まさか隣にいるとは……(笑)


木全賢3氏: 思いもよりませんでした(笑)。本という媒体の影響力を感じました。『デザイン家電は、なぜ「四角くて、モノトーン」なのか?』という本は電子書籍版も出ていますが、書店や図書館のような出会いの場は、これからもなくならないだろうと思っています。Amazonで探している時と、書店でなんとなくブラブラしている時では、感覚が全然違います。私は書店に行くと新書コーナーに必ず立ち寄ります。書棚で今の流行を感じることもできますね。

――書棚から、どんなことが見えていますか。


木全賢3氏: 新書の中では、デザインの本はあまり流行っていないように感じます。「デザインはよくわからないし、ビジネスとあまり関係がない」と捉えられてしまっていることが、棚から伺えます。今、中国は経済発展のまっただ中にいますが、デザインセンスのレベルも上がり日本との差は縮まってきています。でもまだ少し猶予がある。かの国の人たちよりも長い期間「良いもの」を見続けてきた日本人は「良いデザイン」に対する感性を身に着けています。その感性を「なぜそのデザインがいいのか」しっかり言語化でき、互いにコミュニケーションできるようになれば、きっとビジネスにも役立ちますし、それこそが、日本のものづくりが進む次の道、日本の活路だと思っています。「デザインを言語化できる」ための本を、いろいろな切り口で書いていきたいですね。

(聞き手:沖中幸太郎)

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