BOOKSCAN(ブックスキャン) 本・蔵書電子書籍化サービス - 大和印刷

世界中の本好きのために

高橋洋一

Profile

1955年、東京都生まれ。東京大学理学部数学科、東京大学経済学部経済学科を卒業。官邸勤務の傍ら、加藤寛先生から博士号をいただく(政策研究。千葉商科大学)。大蔵省(現・財務省)理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)等を歴任。2010年より嘉悦大学ビジネス創造学部教授。また、インターネット上の私塾「高橋政治経済科学塾」も開講している。著書『さらば財務省!』(講談社)では第17回 山本七平賞を受賞した。近著に『アベノミクスの逆襲』『経済のしくみがわかる「数学の話」』(PHP研究所)、『バカな外交論』(あさ出版)、『「成長戦略」の罠』(祥伝社)など。

Book Information

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

風の吹くまま、気の向くまま



嘉悦大学ビジネス創造学部教授を務められている経済学者の高橋洋一さん。「複雑に見えることを単純化することが学者の仕事」という高橋先生に、自ら考えることの大切さ、単純化思考への道、その哲学を伺ってきました。

経済予想も「単純化思考」で高打率


――先生の経済予測手法から伺います。


高橋洋一氏: 私は、二つか三つの要素だけで経済予測を建てています。みんな色々な予測を建てられますが、「来年の末の為替がいくらになるか」を聞き、過去の打率を見るだけで、だいたいの力量が分かります。プロ野球の世界でも、打率の高い人は、だいたい継続して、いい打率を残していますよね。安倍総理が、今年の新年会で言っていました。「みんな外れでしたね」と。強烈でしたよ。政治家は、そういうことをよく覚えているからね。

――そう伺うと、なんだかシンプルな気がしてしまいますが。


高橋洋一氏: 私は「単純化思考」で物事を捉えます。それから周りの話もあまり聞かない(笑)。周りの情報をどれも鵜呑みにしてしまうから、一層混乱して複雑にしてしまうのではないでしょうか。考える前に、聞くことから始める教育が弊害になっているのかもしれません。義務教育のうちは、それでも良いかもしれませんが、高校、大学で「自ら考える」ことを意識するとしないでは、その後の人生に大きく影響すると思います。

単純化思考で自ら考え答えを導きだす


――先生は、どのようにして「自ら考える」ことを体得していったのでしょう。


高橋洋一氏: 問題を解く事が好きだったのでしょうか。小学生の頃から教科書を貰うと、何時間かで一年分すべて終わらせてしまっていたのです。だから数学に関しては小、中学校の段階で先生に教えてもらわなくても、全部先にできていました。高等教育から「自ら考えること」が大事と言いましたが、私は小学生の頃からずっと、先生の話を聞いた記憶がありません。人には聞かないで、全部自分で考えていました。だから変な生徒だったと思いますよ(笑)。

――確かに、すこし変わっているかもしれません(笑)。


高橋洋一氏: 教室の隅っこで、カーテンを体に巻きつけて、黙っていたらしいですよ(笑)。
学校は勉強というより、遊びに行くという感覚でした。数学を、「数が苦」というふうに言う人がいますが、全然苦しくない。私にとっては、「数楽」という感じです。数学嫌いな文系学生は、たいてい「公式をたくさん覚えなければいけないから」と言いますが、あれを全部覚えるのは、無理だと思います。私も覚えていません。公式は、ある原理から導き出されます。その原理は二つくらいしかないので、そこから公式を全部、導き出すのです。それで実は問題は全部解いてしまっています。公式を導き出す過程を全部理解しているので全部解けます。

――「単純化する思考」は、そのようにして培われたのですね。


高橋洋一氏: 「楽をするために、いかに単純化するか」ですね。覚えなくてはいけない、という意識もなく凄く楽ですよ。理学部数学科に進んだのもそういった理由です。大学に進んでも、昼間はだいたい寝ていました。朝から晩まで、何もしないで考えてばかりいるので、ウチのかみさんに今でも「あんた、いつも何を考えているか分からない」と言われます(笑)。こちらは一生懸命考えているのにね。時々変なことを思いついたり、変なことを言ったりするので、学生の時は、なるべく昼間は人に会いませんでした。ですから、変人と思われていましたよ。「何かおかしいな」と、自分でもそう思うので、気になりませんけれども。

大蔵省(現財務省)のときも、入省時の面接から「変人奇人」で通っていましたが、これが性格なのでしようがありません。プリンストン大学のときだけは、そんな風に言われず心地良くて凄く楽でしたね。普通の感覚ではないと思いますが、問題を一生懸命、集中して凄く考える時があって、そういう時は、問題を考えているということすら忘れてしまうのです。何日かして急に答えが出てきた時は大変です。訳が分からなくなって、メモを書きまくります。

複雑なことを単純に


――そのメモの集大成が本になります。


高橋洋一氏: 学者の仕事というのは、複雑なことを単純化することだと思っています。複雑なことを、複雑なままに説明しても、何を言っているのか分からないですよね。論文だけではなく、本にしても「本質的なところはこうだから、物事は簡単ですよ」というような書き方をしています。

例えば、複雑な事柄も、いくつかの前提からすべての解答が導きだされます。本質があって、そこに何かが組み合わさったものが、すべての世の中の事象になっています。「何が本質か」ということから導き出すので、頭の中は五つくらいのことしか頭に入っていないのです。一般的に演繹といいますが、少ないことから組み合わせて、話を理解していくので、話が簡単になるわけです。私の本は凄く単純だと思います。特段読者を意識していませんが、読んでいただいてありがたく思っています。

――先生の本は、引用が比較的少ないように見受けられます。


高橋洋一氏: 自分の頭で考えてやる、ということに慣れているので、「誰かがこういうふうに言っている」と書くことは、ほとんどないですね。「こういうふうに思うから」と書いています。私の判断基準は自分だけなのです。自分で調べて、見つけて考えるというのが基本です。調べる時には、一次資料しか読みません。ですから、ここの学生にも一次情報が英語の場合「翻訳された日本語だけを読むな、英語を勉強しろ」と、言っています。

一次資料を読み込む


――オリジナルに当たれ、と。


高橋洋一氏: 翻訳された情報は、すでに何らかの編集が加えられた二次情報です。インタビュー原稿と一緒ですよ(笑)。日本語だけを読む、つまり二次情報だけでは、偏りが出てきます。英語を知っておくと、一次情報に当たりやすいので便利ですよ。英語は暇な学生の時に勉強するのが一番ですね(笑)。

私は基本的にMacユーザーですが、英語のKindleアカウント用に iPhone、日本語のKindle アカウント用にAndroidのXperiaと使い分けています。アカウントを統一すると不便なので、別々のアカウントを持っています。昔は洋書を読みたくても、手元に届くまで時間がかかりましたが、電子書籍では、場所も時間も選ばずに、「ポチッ」と電源を入れればすぐ手に入ります。読みたいという熱意のあるうちに読むのが、一番頭に入ります。

計画通りの無計画



高橋洋一氏: 今日は一通りお話ししましたが、すべて成り行きのお話をしました。“if”(もしも)の話をすると、大学卒業後そのまま統計数理研究所に進んでいればそこの教授になっていたと思いますし、入省したのも台風が来たから院試を受けるのが面倒になって、そのうち採用通知が来たからそこを選んだ。すべて成り行きです。「こうするべし」と思ったことは、一度もありません。「風の吹くまま、気の向くまま」です。

――吹かれて進む先に、今何が見えていますか。

高橋洋一氏: 私のモットーは、「風車」。風が吹けば吹いたで、その時やるけれど、風が吹かなければ、昼寝。そのうちに、いい風が吹く時もあると思います。こんな調子だから、いろいろといわれますが、しょうがないです(笑)。ただ「お前は、あまり人の意見を聞かない」と言われることに関しては、「私は意見を言う立場であって、意見を聞く立場になっていない」と答えます。仕事として、行政官の時に、仕方なく意見を聞いたことはありますよ(笑)。でも、今意見を言う立場であれば、誰かの意見は関係ないですし、そもそもその立場にいる意味がありません。「誰かのためにやっています」なんて言うつもりはありませんが、その気持ちだけは変わらないでしょう。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 高橋洋一
著者インタビュー一覧へ戻る 著者インタビューのリクエストはこちらから
Prev Next
ページトップに戻る
Code Profiler