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荒井一博

Profile

1949年長野県生まれ。イリノイ大学大学院修了(Ph.D.)。パデュー大学客員助教授、クィーンズランド大学客員教授、一橋大学大学院経済学研究科教授を経て、現職。教育の経済学の研究はわが国において先駆的で、『教育の経済学』『学歴社会の法則』The Economics of Educationなどの著書がある。雇用制度の研究ではゲーム論などを使って文化的要因も分析し、『文化・組織・雇用制度』『雇用制度の経済学』『終身雇用制と日本文化』『文化の経済学』などを著わした。『信頼と自由』や『自由だけではなぜいけないのか』などの自由に関する著書もある。『ミクロ経済理論』や『ファンダメンタルミクロ経済学』などの教科書も高く評価されている。

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「日本が良い社会になってもらいたい」という思いで書き続ける



荒井さんの専門はミクロ経済学・日本経済論ということですが、かなり広い分野で研究され多数の著書を出版されています。研究分野のなかには、日本の雇用制度・文化の経済学・教育の経済学などが含まれており、最近では『喫煙と禁煙の健康経済学-タバコが明かす人間の本性』という健康経済学の著書も刊行しています。グローバリゼーションが引き起こす問題点を先駆的に論ずるとともに、日本の組織が有する問題点も指摘されてきました。良質な文化の形成を主唱し、研究に際しては「できるだけ広い問題意識を持つことが重要」とおっしゃる荒井教授に、執筆に関連することだけでなく、経済学的視点から見た現在の電子書籍や図書館についてのお考え、また今の日本に対する思いなどもお聞きしました。

バイクの上でアイディアが生まれる


――早速ですが、荒井さんの普段の執筆スタイルを教えていただけますか?


荒井一博氏: 自宅や研究室のパソコンに向かい、落ち着いた環境で集中して書きます。最初に新聞を読むなどある程度ウォーミングアップしてから書き始めます。講義の準備が必要なときは、それを片付け頭をすっきりさせてから執筆を開始します。執筆のアイディアをどのようにして得るかはすべての著作者に共通な課題だと思います。「馬に乗っている時と寝床に入っているときと厠にいる時」という「作文三上」の話もありますが、馬上の現代版ということで私はオートバイ運転を追加したいと思います。

――オートバイにお乗りになるんですか?


荒井一博氏: アメリカン・スタイルのドラッグスター・クラシック400とスーパーカブ50の2台を持っています。オートバイに乗りながら美しい景色を見ていると、いろいろな考えが頭のなかに浮かんできて、執筆のアイディアもしばしば出てきます。バイク運転の快適な季節や時間帯はある程度限定されますが、夏は明け方がお勧めです。道路がすいていて快適な運転を楽しめるだけでなく、薄暗い状態から明るくなるまでの時間の経過と景色の変化を味わうことができます。空気も冷たく新鮮で、1時間余りドラッグスターを飛ばせば脳が活性化され、その日一日快活に仕事をすることができます。

――アイディアを出すのには良い方法なのですね。


荒井一博氏: そしてオートバイに乗ってしばしば富士山に日帰りで行っております。5合目までバイクで行けるのですが、山梨県の河口湖のほうから入る「富士スバルライン」と、静岡県の須走のほうから入る「ふじあざみライン」を私は使っています。
「富士スバルライン」は有料で、スーパーカブの料金はドラッグスターと比べて格安なので、しばしばスーパーカブで行くようにしています。スーパーカブで五合目まで上って来れるのかと観光バスの運転手に驚かれたことがあります。スーパーカブは燃費もいいので、大学から新宿までの片道電車賃ほどのガソリン代で富士山の日帰りができるんです。このルートの麓付近では野生の鹿が頻繁に道路に飛び出してきます。ドラッグスターを高速で運転して鹿に出くわすと非常に危険なんですが、スーパーカブのような小型のバイクだと鹿を比較的容易に避けられます。鹿に出くわしたら急ブレーキをかけないといけないので、うっかり景色ばかり見ていると大変なことになります。「ふじあざみライン」は無料なのでドラッグスターで行くことにしています。道路の坂もかなり急で、スーパーカブにはしんどいともいえます。
あいにく、最近富士山が世界文化遺産となって今年の夏から車両規制がなされており、以前ほど自由にバイクを乗り入れることができなくなりました。これからは規制されていない日や期間に行かざるをえません。富士山への日帰りツーリングが、アイディアを生み出す1つのプロセスになっているんじゃないかなと思います。

試験問題の国語はそれほど得意でなかった


――大学入試に荒井さんの文章がしばしば出題されていますが、若いころから国語が得意だったのですか?


荒井一博氏: 私は読書少年というほどではなく、どちらかというと野外で遊んだり、自転車に乗って友達の家に行って遊んだり、いろいろな自然を観察したり景色を眺めたりするのが好きでした。出版社の方からも「文章が上手い」とか「あまり手間をかけずに出版できた」といわれることが多いのですが、高校時代は国語がそれほど得意な科目でなく、どちらかというと教科書や試験問題などの文章に批判的になってしまいました。深く読んでしまうというか「ここはおかしいんじゃないか」などと思ってしまって、あまりいい点数が取れませんでした。大学時代に読んだMoby Dickでは三原色に関して誤った記述があることを発見しました。現在では、他人の書いた文章表現が気になります。批判的な態度は大学以上の学問では有効なんですが、受験勉強のように与えられたものをこなすことが重要な場合には、負の効果しか持ちません。古文と漢文に関しても教科書と授業だけでは十分に理解できるようになりませんでした。その結果、応用力もつかなかったので、国語はあまり得意でありませんでした。もっと説明が多く自習しやすい教科書だったら違っていたと思います。ただ、『万葉集』や『古今和歌集』や『新古今和歌集』に関しては、感動し興味を持って勉強しました。

――書くことについてはいかがでしたか?


荒井一博氏: 小学校2年生の時に、ある日突然ストーリーが頭に湧いてきたので、それを書いて先生に見せて褒められたことがありました。中学や高校では、自分の書いた作文を先生が授業で取り上げたこともありました。大学時代には英語で短い物語を書いたことがあって、イギリス人の先生に面白いと言われたこともあります。書くことはかなり好きで、著書・論文・雑誌の記事などを楽しんで書いてきたことが、今につながっているのかなと感じます。

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