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世界中の本好きのために

吉村作治

Profile

1943年東京都生まれ。66年、アジア初の早大エジプト調査隊を組織し現地に赴いて以来、50年以上にわたり発掘調査を継続、数々の発見により国際的評価を得る。05年1月には未盗掘・完全ミイラ「セヌウ」を、07年10月にはエジプト学史上非常に珍しい「親子のミイラ」が埋葬されている未盗掘墓を発見し、大きな話題となった。そして、09年2月には、ラムセス2世の孫王女の墳墓を新たに発見した。11年6月、第1の石蓋引き上げに成功した、古代エジプト最古の大型木造船「第2の太陽の船」を発掘・復原するプロジェクトにも、全世界からの注目が集まっている。大好評のもと終了した、『早大発掘40年展』と『新発見!エジプト展』の2つの展覧会に続き、新企画『吉村作治の古代七つの文明展』を、2011年6月から福岡市博物館を皮切りに開催し、現在、全国を巡回中。

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便利だけれども、注意して付き合ったほうがいい



吉村作治氏: どこにいても、アクセスが可能というのも魅力ですね。しかし、この便利さには注意して付き合っていかなければなりません。現代では、インターネットが整備されていて、辞書から何から全部手に入って、勉強しやすい環境が出来上がっているはずなのに、皆勉強しなくなっちゃうんです。僕達の時代には、コピーもないから、図書室にある本を参考にする時も、全部手書きで写して勉強していました。

――とりあえずキープ、はできないんですね。

吉村作治氏

吉村作治氏: そうなんです。だから、よく読み込んで必要な所だけ手書きでノートやメモをとります。書き込んだ時にさらに理解していきます。そうして自分でまとめたものを、使う。その三段階を経るわけです。するめみたいに三度美味しいってことなんです。

インターネット上の百科事典も革命的ですが、そうした経緯をすっ飛ばして、情報にダイレクトに到達できてしまいます。それだけ人間の努力とかやる気がイージーになって、勉強しなくなるんですよ。大学で教本を捨てた理由は、提出することを目標とせず、勉強を通して身につけるためなんです。身についていないまま提出するということは、ある意味、不良品を出しているんです。自分の知識として習得してはじめて、誠実な商品だと言えるのではないでしょうか。

値がつくかつかないかは別として発表って商品ですからね。だから、ちょっと乱暴な言い方になるけれども、今の不良品を垂れ流す教育システムっていうものに対して、警鐘を鳴らしたい。

――先生は、先駆けて講義を収録してインターネット上で閲覧できるようしましたが、教育という観点から電子媒体の可能性をお伺いします。


吉村作治氏: 小学1年生が、初めて学校に行って、教科書をぱっと開けた時に、そこに広がるね、紙のにおいとインクのにおいに包まれた字と絵の世界。それは大事にしたいものです。知的なものに興味を持つ。大事ですよ。だから、小学生の時代に教科書を紙でやるのは賛成なんです。それ位は大した数じゃないから。

小学校、中学校の間は紙媒体で良いと思います。けれども、高校からは、教科書はもう電子媒体にした方が、ぐっと可能性は高まると思います。大人の場合でも、すぐ読みたい本などは、電子書籍にして、僕の本も含め、安く皆に読んでもらえることが大事だと思いますね。

様々な知へのアクセス方法



吉村作治氏: 読書自体に言及すると、もっと本を読まないとだめ。人間ひとりが、世の中に知り合える人数なんて、一生で1000人が良い所ですよ。本だったらね、万単位。10万冊読めますよ。著者の考えに触れ合えるという意味では、10万人に会う事と等しいと思っています。

また図書館の可能性も広がると思いますよ。元々、図書館という存在は古代エジプトが原点なんです。ムセオンって言いいます。ムセっていうのはミューズという知的なエンターテイメントのギリシアの女神で、英語のミュージアムにあたりますが、楽しみの伝道、智の伝道ということなんです。本来図書館は、博物館的でもあるわけです。だから、図書館も今後はコーヒー飲みながらゆっくりできる、電子媒体も活用して楽しみの殿堂の場所になれば良いと思います。図書館の方が静かだし、環境良いんですから。図書館の役割はもっと、可能性が広がります。もっと人が来ますよ。

映画館も劇場も同じ。ライブ自体の重要性は今後も変わらないと思います。例えば、1ヶ月講演にしても、毎日違うんです。同じ演目を、同じ演者がやっていても違うものなんです。知とは、エンターテイメントと同義だと僕は考えています。日本の場合、エンターテイメントと言えばスポーツと芸能という感じですが、そんなことありません。読書や講演で知に触れることも、エンターテイメントなんです。

生き方、人生を「デザイン」する



吉村作治氏: 僕なんか今70歳でしょ?だから、頭がそれなりにしてて体が動いて、説得ある話が出来るのは後、10年だと思っていて、10カ年計画を立てています。80歳以降は、ゆったりと軽く流して死を待つという。良いことだと僕は思っています。

若い人も含めて、年寄りも含めて、死ぬってことを実感して無いんですよ。死ぬってことは生命が終わるだけじゃなくて、自分の世界における存在がなくなるということなんです。生き方をきちっと決めないで生きてる人、多いじゃないですか。それはそれで良いし、構わないんだけど、少し損だと思います。自分のやりたいことをきちっと自分の人生に組み込んでいってほしい。

例えば、僕は30歳の時に50歳で死ぬとしたら何と何をやる。で、40歳だったら60歳で死ぬ時に、という風に、今まで調整してきました。今70歳まで生きちゃったから、80歳になったらどうする、と考えている。けれども、それ以上は考えない。大事なことは、ただ命を存続させることじゃなくて、その自分が社会にとってどういう存在価値があるかっていうことを理解した上で、生きていかなきゃいかんと思っています。

――いかに生きるか。


吉村作治氏: それを啓蒙するのは、やはり世の中に向かって発言する人間の責務だと思うんですよ。本を出版したり、テレビに出演したり、ラジオで話したり、雑誌でインタビュー受けたり。それぞれの行為は、それなりに社会に自分の考えを影響させようという意図がある訳です。僕がとても嬉しく思うのは、僕自身がエジプトの伝道師であり、「エジプトは良いから一度はおいで」っていう想いだけじゃなくて、古代エジプト人が考え、行動した、その結果。それを皆さんに知らせることによって、自分の生き方や、日本の在り方、アジアの在り方を考えるきっかけになること。考える意識が環境を作っていきます。色んなメディアをもって皆に発信する。それが僕は大事だと思うんですね。

吉村作治氏

――今後の先生の展望をお聞かせ下さい。


吉村作治氏: そうですね。ともかく、あるもの全部吐き出す。アウトプットすると、脳の中に入ってるもので。それだけだとずっとカラカラになるから、また新たに入れなきゃいけない。仕入れと販売を一緒にやんないと。だから、もっともっと。今考えている目標は、1000冊書くこと。ただし大事なのは、本を売ることではなくて、もちろん読んでもらうこと。自分が考えていることを、みんなに広めたくて、知ってもらいたくてしょうがない。私には皆にどうやったらたくさんの人に読んでもらえるか、知ってもらえるかっていうことがとても大事なんです。電子化はそういう意味でも大きな可能性を秘めていると思います。

(聞き手:沖中幸太郎)

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