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逢沢明

Profile

京都大学大学院博士課程修了。現在、京都大学准教授(情報学研究科)・工学博士、ニューヨーク科学アカデミー会員。知性学、マクロ情報学の気鋭の研究者であるとともに、教育費高騰の時代に完全無料の初等教育サイトの構築に向けて財団設立も目指す。子供たちを飽きさせない教育のために、パズルやクイズなども重視している。著書に、『ゲーム理論トレーニング』(かんき出版)、『実践・論理思考トレーニング』(サンマーク出版)、『複雑系は、いつも複雑』(現代書館)、『直観でわかるゲーム理論』(東洋経済新報社)、『大人のクイズ』、『頭がよくなる論理パズル』(以上、PHP研究所)など、ベストセラー多数。

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世の中を動かし、心を豊かにする「言葉の力」を追求したい



逢沢明さんは、京都大学工学部准教授として情報学の研究を行う傍ら、作家として先見性の高い文明批評を展開。ゲーム理論の解説書、パズルに関する本などでも人気を集め、このほどSF作家としてデビューも決定するなど、意欲的に表現の幅を広げています。逢沢さんに、研究対象である人間の「知性」について、SF作家としての意気込み、10年以上前から行っているという書籍の電子化等について伺いました。

生命の法則と知性の法則は一致する


――早速ですが、大学での研究内容について、ご紹介いただけますか?


逢沢明氏: 僕の研究は、ほかの人のやることは絶対やらないという、京大らしい独創精神でやっていまして(笑)。メインは「知性学」と呼んでいるもので、インテレクト、人間の知性を理論的に解明するというテーマでやってきました。そもそも生命がいなかった原始の地球、そこは物理学の支配している世界だったはずですね。その物理法則の世界から、生命が誕生して、その生命はやがて知性を持っていき、文明まで築き上げる。その一般法則を考えています。

――大変に壮大で、体系化するのは難しいテーマではないでしょうか?


逢沢明氏: そうなんです。以前ブームになりましたけど、複雑系の分野に近いです。宇宙の万物の法則は、従来の物理学だけでは説明しきれない部分があるんですね。僕はそこの部分を、自然界で自己組織化とか進化と言いますけれども、生命とか知性とかも含めて情報の自然法則で説明しています。デカルトの「我思う、ゆえに我あり」の「我思う」というのも、つまるところ自然法則によって思うようになったはずです。

逢沢明氏

ところが物理学とか、ニュートン力学の運動方程式では、なぜ考えているか説明できないでしょう。「我思う」という思考の領域、そこにある自然法則がどうして生まれたかを解明しようとしてきました。東京創元社の方が、「その研究はまさにSFですね」とおっしゃっていましたね(笑)。いや、本人は大まじめでやっているんですけどね。僕のメインのテーマは、物質の保存則のもとで生命の法則と知性の法則は一致するということです。それこそ創元社の方が、まさにSFだと大喜びでしたけど(笑)、それを数学的に必要十分条件で証明しているんです。電子情報通信学会という、会員数3万人規模の電子関係では日本で最大の学会で、数学定理が一言の文句もつけられずに問題なく通って掲載されています。いくつか論文を書いてきて、それは最終定理として与えたもので、文句がつきそうなところには「前の論文に書いておいたから今回は文句をつけるな」と言ったら、何にも文句をつけられずに通りました。

――それは学問的には非常に大きな達成なのではないですか?


逢沢明氏: 国際会議で発表したら、異様に反響がよかったので、恐れをなして論文を会議録に載せませんでした。僕は一人でやってますし、あまり注目されると海外でみんなやられてしまいますから。そんなわけで、万年准教授ですよ(笑)。周りの人と全然違う体系でやりたいというか、「え?そんな定理がなりたつの?」ということばっかり考えてきました。上の人から見ると、「あいつどんどん論文を出して来るから、文句つけて、しばらくはゆっくり考えとれ」と思ったら、翌朝には結果が出ているからちょっと煙たいでしょうね(笑)。上の人がちょっとぶつくさ言っていたら、周りも誰も味方をしないんですよね。

知性の本質を知るために、文明、芸術を分析する


――新しい学問体系で研究することにどのような苦労がありましたか。


逢沢明氏: 誰も解けないような知性の一番本質的な理論を考えるようになって、今までにないものなので、暗中模索、五里霧中、どこから攻めていいかわからない。だから色々な形で攻めていったんです。コンピューターなど機械の理論からいくと、かなり違う。ぼくの理論でわかってきたことでは、機械の理論よりも、生命進化の理論でできたもののほうが圧倒的に美しいんです。工場の機械はヤボだけど、自然界の生物はもっとずっと美しいでしょ。理論自体の枠組みが大きく異なります。それから、人間の知性の本質を考える時に、人間の知性が生み出したものの大きな枠組みが、文明なんですよね。文明の中に、一種その人間の知性・知能の本質にかかわる部分の手がかりがあるだろうということで、文明全体も見渡し始めたわけです。

ついでに言いますと、芸術も対象になると見渡して、芸術の構造分析、特にコンピューターでやる時に、文章が手軽なものですから、文学作品の構造分析をやりました。ただ、当時われわれの分野では、みんなコンピューターばっかりやっているんですよね。僕はコンピューターよりも情報産業というのは広いという見方をしていますから、文学も見るわけです。ほかの人とは全く違う。論文を書こうと思っても、3万人規模、2万人規模のところがなかなか受け入れてくれるとは思わないから、文学の構造分析は隠し通したんですけどね。それ、このごろになって非常に役立ってますよ(笑)。

――確かに、情報に関する学問というと、コンピューター関連のことなのかと思いますよね。


逢沢明氏: 日本の情報学では、梅棹忠夫先生が世界で最初に「情報産業」という言葉を使ったと主張しておられたんです。「ほんまかいな、もっと前からあるやろ」って思いまして(笑)、僕も学会関係の文献からSF作品まで、初期からずっと調べました。で、悔しいことに、ないんですよ。ほんとに梅棹先生が最初でした。その梅棹先生が名付けられたとする情報産業ですが、梅棹先生は新聞とか、テレビとかね、そういうメディアに関して情報という言葉を主にお使いだったんですね。コンピューターもその中に入ってくるんだけれども、メディア系が情報の中心的産業であるというとらえ方が日本でオリジナルの情報産業論だったと思うんです。ところが大学でやっている情報学といったら、ほぼコンピューター学になっています。オリジナルの情報の見方は、コンピューターに絞ったものじゃなくて、もっと立場は広かったと思いますが、日本の大学が井の中の蛙状態になってしまったんです。

なぜそうなったかというのは明らかで、コンピューターばっかり伸びていって、どんどん性能が向上したから、それに気をとられたからだと思います。ですから僕はメディアとともに、もっと大きく生命進化の問題までカバーしようと思っています。梅棹先生はもともと生物学の先生ですから、カバーしておられないことはないんです。ですから梅棹学の体系にかなり近いところで今やっています。

試験放送も見た「テレビっ子第0世代」


――逢沢さんの現在に至るまでの過程を探っていきたいのですが、幼少のころはどのようなお子さんでしたか?

逢沢明氏

逢沢明氏: ぼんぼん育ちなんですよ。物心ついたころには、大阪のミナミの帝王でして(笑)。育ったのは、難波の千日前。より絞り込むと、現在なんばグランド花月がありますね。あそこ、なぜ「グランド」がつくか知っています?あそこはもと映画館で、グランドというところだったんです。その斜め向かい、千日前で親が商売していました。袋物業といいまして、ハンドバッグとか、今で言うとルイヴィトンとか、あの手の系統のデザイン、ファッション的な系統のものを商っていました。テレビが昭和28年に放送開始されて、本放送が始まる前に試験電波を出していたんですが、そのころに、うちの親がテレビを買い込んできて、本放送前からテレビを見ていましたね。

――もちろんテレビは高価だったでしょうし、かなり裕福であったということですよね。


逢沢明氏: あのあたりではよくそういう家があったんです。たいてい客寄せに店に置いていたんですが、うちはお客さんに見せずに、僕に見せてくれていまして(笑)。シャープがテレビの国産第一号を出してきまして、14型と17型がありました。14型が有名なんですけど、その上の17型で見ていましたね。今17型って言ったら小さいなあと思うでしょうけど、巨大な箱でしたね。だから僕は「テレビっ子第0世代」。日本流の日の丸メディア産業に色濃く染まって育ってきたんです。

――お家には、ほかにも珍しいものがありましたか?


逢沢明氏: 以前どこかの本に写真を載せたことがあるけど、小学校2年ぐらいの時に買ったブリキでできたラジコン自動車なんかですね。動くかどうかわからないけど、いまだに記念に残してありますよ。あのころに日本で作っているのは珍しいと思います。だからテレビも、ラジコン自動車も、昔で言えば、鉄人28号のロボットの世界ですね。父親も8ミリカメラやライカのカメラなんかで写しまくってたし、真向かいの映画館では「ゴジラ」の第1作のロードショー。その看板の前で写した写真が残ってますよ。そういうものも含めて情報という感じですね。

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