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奥村晴彦

Profile

1951年生まれ。京都府京都市出身。名古屋大学理学部卒業、同大学院理学研究科修士課程修了。高校教諭を経て1994年より松阪大学政治経済学部(現・三重中京大学現代法経学部)助教授、1999年同教授を経て2004年より現職。博士(学術)(総合研究大学院大学数物科学研究科核融合科学専攻)。著書に『LaTeX2e 美文書作成入門』、『基礎からわかる情報リテラシー―コンピュータ・インターネットと付き合う基礎知識』(ともに技術評論社)などがある。

Book Information

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紙に制約されない、電子教科書を


――電子書籍や電子教科書について、どう思われますか?


奥村晴彦氏: まずは、軽いですよね。教科書の重さで教科書の厚さが決まっている。特に日本の教科書は薄い。紙数の関係で書けないことが多くあるわけです。それが電子書籍にすればいくらでも書ける。教材をいくらでも膨らませることができる。そういう環境で教えれば、もっと豊かなことが教えられるのではないかと思うんです。電子教科書を進める人が出てきていますが、例えばゲーム仕掛けでインタラクティブに学べるような教材を作るとか、そんな風にだけ考えてしまう人も多い。もちろんゲーム的な要素を入れるのは面白いことですが、それがポイントではなく、全部学べなくてもさまざまな資料がその中に入れられるということがポイント。紙の本だと、できるだけ紙を節約したいので押し込んでしまいますが、電子教材であれば、1ページ1ポイントだけにするとか、あるいは写真じゃなく動画にするとか、いろんなことが可能になると思うんです。計算はタブレットでやる必要はなく、紙でいい。その代わり、生徒が興味を持ちそうなことをすべて入れれば、深く勉強をしたい生徒はいくらでも勉強できる。

――紙面の制約を受けないということですね。


奥村晴彦氏: そうですね。今はコンテンツがいくらでもありますから、簡単に電子コンテンツができるはずなんです。ですからインタラクティブ性や、これで計算をさせようだとかにこだわらず、いくらでも情報を入れられる教材として使えば、電子教科書としても教材としても非常に有用だと思います。

――電子書籍に関してはいかがですか?


奥村晴彦氏: DRM(デジタル著作権管理)がついているものがわずらわしいですよね。今、日本で電子書籍を買おうかなと思っても怖くて買えない理由は、いつなくなる会社かわからないから。アメリカでは、DRMは入っているけどAmazonを買っておけば潰れることはまずないだろうと安心して買う。そういう状態になれば、日本でもはやると思いますが。

――確かに、会社自体がなくなってしまったら買った本をどうしたらいいのだというとことですよね。打開策はあるのでしょうか?


奥村晴彦氏: AmazonはAmazonの端末だけではなくiPadでもiPhoneでもMacでもWindowsでも読める。端末と合わせて売るのでは、端末が壊れたらダメということになってしまいます。そういう意味で、Amazonに関してはKindleがあらゆるプラットフォームで出しておられるから、広まる感じは十分あると思います。昔AdobeがPDFを出して広まったのも、あらゆるメディアで読めたから。しかも無料のアプリであらゆるプラットフォームで読める。それと同じような感じになれば広まる可能性はあると思います。

――PDFでいいじゃないかという意見もありますが。


奥村晴彦氏: サイズを限ればPDFでいいと思います。PDF版のほうがはるかに読みやすい。ページが分かれるところも、編集者が考えて作っているから、読みやすいと思います。ただ、小さいデバイスで読むときは、PDFでは読めないですよね。その場合はEPUB(電子書籍用のファイルフォーマット)のようなリフロー(画面サイズに合わせた最適化)をするしかない。

――奥村さんが電子書籍を読まれるときは何を使いますか?


奥村晴彦氏

奥村晴彦氏: iPadかパソコンですね。パソコンで読むときは少しでも目にやさしくするために、色温度を低めに設定する。色温度を5000~4500ケルビンぐらいに設定すると、白さが違ってくる。紙のような感じになる。今はWindowsの標準でもある6500ケルビンが標準なんです。ウェブページとかをデザインして他の人に見ていただくには、この画面でやるのが一般的だと思いますが、自分のためであればできるだけ低くしたほうがいいですね。色温度を低くすればいわゆる「ブルーライト」成分も減ります。今、ブルーライトをカットするめがねも出ていますよね。それを使うのもいいですが、ディスプレイの設定で変えることもできます。液晶は意外と紫外線は出ていない。ブルーライトといっても単に青い光の成分が出ているだけなんです。だから色温度を低くして青い光を抑えればいい。問題はiPadなどのデバイスに、色温度設定がないこと。個々のソフトで背景色を少し黄色にするというような設定があればいいと思います。Kindleアプリは背景色を変えられますよね、あんな感じで目にやさしい色にできるよう、色温度を変えるような設定があればいいなと思いますね。

USBディスク1つですべての本を持って歩ける時代


――読者の方が、住宅のスペースなどの事情から、奥村さんの書籍を裁断し、スキャンすることで電子化したいという要望もありますが、どのように思われますか?

奥村晴彦氏

奥村晴彦氏: ありがたいです。例えば私が定年になったら、大学にある本をすべて捨てて帰らないとかみさんに怒られます(笑)。そういう日本の家では、電子化しない限り本は買ってもらえない。自炊に反対されている作者さんもおられますが、どんどん自炊をやってもらったほうがたくさん買ってもらえるんです。この小さな1テラバイトのUSBハードディスクに、何万冊も入るわけですからね。これ1つあればすべての本を持って回れるという時代なのですから、紙にこだわる必要は全くない。私は昔から、身の回りの紙を何とかしたいと思っていました。紙だと無くしたときに探し回らなければいけないし、検索もできないので、何とか電子化したいと思って,いろいろ実験してきました。ScanSnap(両面原稿をカラーで読み取ることができるスキャナー)が出て、「自炊」という言葉が出たのが数年前ですか。そのころには自分で一生懸命やっていました。1つ困っているのが、少し黄ばんだ本、古い本をスキャンするときにカラーモードになってしまうこと。普通はScanSnapで「カラー自動判別」を使うのが一番便利なのですが、黄ばんだ本だとカラーモードになってしまって黄色い色のページが混在してしまう。ですからメーカーさんに一番やってほしいのは、カラーでない白黒とグレーの自動判断ですね。

――最後に、今後の取り組みについてお聞かせください。


奥村晴彦氏: とにかく大学というところは忙しいんです(笑)。ですから、定年後いろんなことをやりたいなと思っています。今までいろんな本を出しましたが、これからは紙の本を出すより、ウェブなどで情報発信したほうが読んでいただける時代になっています。紙の本にとらわれず、さまざまな形で皆さんの勉強になるような題材を提供できればいいなと思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

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