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世界中の本好きのために

村上憲郎

Profile

1947年生まれ、大分県出身。京都大学工学部資源工学科卒業。日立電子、DECを経てノーテルネットワークス日本法人代表に就任。2001年、ドーセント(米国の人材教育会社)日本法人を立ち上げたのち、2003年4月よりGoogle米国本社副社長兼日本法人代表取締役に就任。2008年12月9日に退任し、2009年1月1日より同社名誉会長。現在は同社の経営からは退き、村上憲郎事務所代表を務めている。豊の国かぼす特命大使。主な著書に『村上式シンプル英語勉強法-使える英語を、本気で身につける』『村上式シンプル仕事術-厳しい時代を生き抜く14の原理原則』など。

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わからないことや思い出せないことは、いますぐ確かめないと我慢できない


――そんなに本を読んでらっしゃったら、かなりたまっていきますよね。蔵書はどうやって管理していらっしゃるんですか?

村上憲郎氏

村上憲郎氏: 僕は蔵書が多いけれども、本は全く自炊してないんですよね。マンションだから底が抜けないとは思ったけど、もう カミさんから「これでは、床が抜けるからどこかに運んでください」って言われて、別の場所に運びなおしているんですよね。なんで、本を処分せずに他の場所を借りてまで保管しているのかというと、なにか本を読んでいると、「あ、あの本を読まなきゃあかん」と思うわけです。だから捨てられない。

そういう意味合いにおいては、あなたたちの仕事はもう少し続くとは思うんだよね。だってそれは、iPadやPCの上で読めればいいわけですから。検索をかけて当該のページに辿り着ければ。私の方法だと、本を取り出して、「たしかこの辺りだったな」という風に手で探していかなきゃいけないので、時間が掛かるわけですからね。だから、そこまでは、あなた達の仕事が多いに役立つ。「紙の本の電子読み」というのはそれを馬鹿にできないと思うんですよ。

でもね、はたして「全員がそこまでいく必要があるのか」というと、これは疑問ですよ。私の場合は、ちょっと病気みたいなものですからね。ただ、「あの本のこれはどういう意味だったか」という気になることがでてくると、それを確認するまで生きられないんです。例えばちょっと旅行をしていて手元に数冊しかなくて、それを読んでいて、「あ、あの話!」って思ったら、もう東京にこのまま帰って、自分の本をとりあえず確認してまた戻って来ようかというくらいですから。もう、次の日のアポの事はもう完全に頭になくなっていたりしますよ。でも、そうじゃないともう明日を生きられないんですよ。大げさに言うようですが。まぁ、病気ですけどね。

――村上さんにとってもう本は「なくてはならない存在」なんですね。


村上憲郎氏: 僕は、読まないで暮らしている人の気が本当に知れないんです。「あなたのお師匠さんは誰ですか」と言われたら、やっぱり本ですよね。もちろん本を書かれた方がお師匠さんということなんだけど、誰が一番ということじゃなくて、それぞれの分野で「この宇宙の秘密は書籍の中に既に誰かが言い当てている」とか。「このような問題があるということを私より先に気づいている」というね。

知的レベルが低下した日本人にとって、電子書籍は救世主となるか?


――たくさんの読書をしなければならないという中で、電子書籍という存在が、もっと普及してくると思います。誰もがほとんど本を読まないというこの状況に一石を投じるものになり得そうですか?


村上憲郎氏: 今の時点では、まだないんじゃないでしょうか。要するに日本の場合、皆さんご存知のように売れているのは漫画とライトノベルな訳ですよね。そして、もっとはっきり言わないといけないのは、いま電子書籍とと呼ばれているものは、紙の本の電子読みにしか過ぎないということ。私が言っているのは、本格的な出版社は、これからどういう風に活路を見出さなければならないかというと、デバイスとしては、最終的にはスマートテレビなんじゃないかと思うんですよ。

――スマートテレビですか?


村上憲郎氏: 要はマルチメディアデバイスのことです。スマホ、タブレット、スマートテレビというのはサイズの違う「スマート××」なわけですよ。それもPCの流れを汲んでいるという。PCがスマホになり、タブレットになり、スマートテレビになるわけですよ。私も日経電子版に、本来的な意味での電子書籍とは何か、そこで、スマートテレビの果たす役割とかについて、これまですでに、5、6回書いているけど、そこに書いてあるようなことを目指さないとダメだと思うんです。

じゃあどんなものかというと、アップルのiBooks Authorをイメージしてもらうとわかりやすい。これはアップルが発表した、電子書籍を作成できるアプリケーションのことで、iBooks Authorで作成された電子書籍は、Appleの電子書籍ストア「iBookstore」を通じて有償・無償で配信することができるんです。

電子書籍というのは、ピョッとクリックすれば動画が出てくるわ、テキストがでてくるわ、スチール写真はでてくるわ、アバターで池上彰みたいな人が出てきてワーワーワーと説明してくれるわ、ソーシャルとかとも全部絡んでいる万能のメディアコンテンツになるわけなんです。つまり、ひとつのコンテンツに対して、「私は本を読んだんでしょうか」「映画を見たんでしょうか」「解説を聞いたんでしょうか」という時代が来るわけです。

――もはや出版社がテレビ局のような形になる…ということでしょうか。


村上憲郎氏: 出版社もそのうち、「なんかウチ最近テレビ局みたいな感じになったな」という事態になるかもしれない。編集者はそのうちディレクターみたいになる。というか、そうならないとダメなんですよ。それが電子書籍なんです。いまの電子書籍は、しょせん紙の本の電子読みに過ぎない。もちろん、それは、特に日本のように版元在庫切れみたいなものが山ほどある国では非常に大事です。でも、先生方は一銭にもならないで、「増刷しますか?」と言ったら「先生が費用もちます?」みたいな話になっている訳でしょう? それを、今だったらブックスキャンさんがやっているように、自炊もコストがほとんど掛からないようになってきているわけだから、そういう風にして進めていけばいいと思うんです。

しかも新しい本も全部ソフトで組んでいる訳だから、もう一気に電子化できますよね。そうすると日版さんとかトーハンさんとかに貸し借り関係を作らなくてもいい。いまは、なんでもいいものを刷って、段ボールで送り返されて、あとは溶かすしかないのかな、みたいな話になっている訳でしょう? 

あと、いま、電子出版と呼ばれている紙の本の電子読みのところでは、もっと堅い本の電子化をすればいいと思います。たとえば、神田の古本屋を回ってもないわ、みたいなやつを出せば需要は引き続きあると思うんですよね。しかも、コストはあまりかからないという形で本業の方を少し立て直しして、キャッシュフローがどれ位だというのを見ながら、そこでもし余裕ができれば、新しいマルチメディア電子出版、というか本来の電子出版が出てくるんじゃないかな、と思います。

(聞き手:沖中幸太郎)

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